トマト・ミニトマト

英名:Tomato
学名:Solanum Lycopersicum
 学名の「Solanum」はナス属を意味しています。「lycopersicum」はギリシャ語で狼「lycos」と桃「persicos」を意味しています。

病害

灰色かび病

病原菌名:Botrytis cinerea
症状:花弁から菌が侵入し、その後果実にまで移行した。その他、生理障害などにより枯死した場所や花弁が葉面に落下した場合、葉に発病することがある。
対策:開花時ころの微生物農薬による予防散布が有効である。また、多湿条件で発病しやすいことから施設内の換気に努める。
その他特記事項:生育が弱った細胞に菌が侵入し、感染する。蜂による交配の場合尻部に、ホルモン剤処理による場合、へた付近に花弁が残る傾向がある。
写真:松澤 光弘 2004年(写真2枚)

写真1 トマト_灰色かび病

写真1 トマト_灰色かび病

写真2 トマト_灰色かび病

写真2 トマト_灰色かび病

青枯病

病原菌名:Ralstonia solanacearum(ラルストニア・ソラナセアラム)
症状:初期は、日中の高温時のみ萎れを生じ、朝夕には回復するが、次第に朝夕でも萎れるようになる。萎れを生じるが、緑色を呈したままである。写真3のように地際部で切断し、水に浸けると乳白色の白濁液が出る。
対策:本病原菌は、水を媒介として広まるので、排水対策を十分に行う。既に発生してしまった場合は、土壌消毒をするか抵抗性台木を使用する。
その他特記事項:地際部には、粒状の気中根の発生が見られる。
写真:志和 一也 2008年(写真1枚)

写真3 トマト_青枯病

写真3 トマト_青枯病

かいよう病

病原菌名:Clavibacter michiganensis subsp.michiganensis
症状:本病の症状は、内部組織が侵され萎ちょう症状を呈する場合と、小葉の葉縁に病斑を作り、やがて小葉が黒褐色に変色して枯れるものがある。
写真4~7は、前者の症状を呈した。
対策:萎ちょう症状を呈する場合、薬剤により菌を死滅させることは困難と判断し、抜き取りを行った。小葉に病斑を作る場合は、薬剤による防除も有効と考える。
写真:志和 一也 2009年(写真4枚)

写真4 トマト_かいよう病

写真4 トマト_かいよう病

写真5 トマト_かいよう病

写真5 トマト_かいよう病

写真6 トマト_かいよう病

写真6 トマト_かいよう病

写真7 トマト_かいよう病

写真7 トマト_かいよう病

害虫

ナミハダニ

英名:Twospotted spider mite
学名:Tetranychus urticae Koch
症状:下葉や株元付近の葉に白いかすり状になる。葉の裏にダニが群生している。
よく見ると成虫の背中に2つの黒い点(英名のTwospotの由来)が見えることで、判断できる。
対策:薬剤防除。ほ状周辺の雑草防除。栽培開始前に施設内のハダニを根絶する。育苗時からハダニの侵入を防止する。
その他特記事項:
多発時期:3~5月 8~9月
加害部分:葉 つぼみ 花
発生温度:20~25℃
湿度条件:50~60%
早期発見、早期防除をしないと防除困難となる。多発してくるとクモの巣状の糸が一面に張られ、糸を伝って盛んに動き回るようになる。
写真:松澤 光弘 2004年(写真5枚)

写真8 ミニトマト_ナミハダニ

写真8 ミニトマト_ナミハダニ

写真9 ミニトマト_ナミハダニ

写真9 ミニトマト_ナミハダニ

写真10 ミニトマト_ナミハダニ

写真10 ミニトマト_ナミハダニ

写真11 ミニトマト_ナミハダニ

写真11 ミニトマト_ナミハダニ

写真12 ミニトマト_ナミハダニ

写真12 ミニトマト_ナミハダニ

トマトサビダニ

英名:tomato russet mite
学名:Aculops lycopersici (Massee)
症状:茎葉が光沢を帯びて黒褐変(品種:キャロル10)。オンシツコナジラミによるすす病に類似しているが、粘性はない。ダニはくさび形状、黄褐色。
対策:高温乾燥を好むことから、高温期に発生が確認された場合、早急に防除を要するが、低温期では、増殖が鈍るので、移動、増殖が確認される場合のみ防除する。
その他特記事項:日本では、1986年に沖縄県で初めて確認された侵入害虫である。本種はマルハナバチや天敵等を用いた減農薬栽培のトマトハウスで多発する傾向があり、(田中ら1998),減農薬栽培推進にあたってやっかいな問題となっている。トマトサビダニはトマトを「好みすぎる」ために,トマトが枯死するまで加害を続ける。虫の体長はO.2ミリで非常に小さいため、肉眼では発見できない。発育適温は26.5℃、湿度は30%と低湿度を好む。0℃以下の条件では越冬できず、主に施設内で越冬するものと考えられる。
写真:田村 理子 2008年(写真1枚)

写真13 トマト_トマトサビダニ

写真13 トマト_トマトサビダニ

生理障害・その他

芯止まり

石灰欠乏症:石灰(カルシウム)は、作物体内で移動しにくい要素であり、吸収が抑制されると、成長点付近や最も生長する部分に発生する。
症状:生長点の生育が止まり、それ以上生長しなくなる。
対策:生長点の分化時に、何らかの理由により、石灰(ホウ素)の吸収が抑制されると発現するので、吸収抑制されないようなかん水管理を行う。土壌中の石灰が不足している場合は、土壌改良を行う。窒素過剰により石灰の吸収が抑制される場合もあるので、適正施肥に努める。
写真:松澤 光弘 2004年(写真3枚)

写真14 トマト_芯止まり

写真14 トマト_芯止まり

写真15 トマト_芯止まり

写真15 トマト_芯止まり

写真16 トマト_芯止まり

写真16 トマト_芯止まり

カリ欠乏

症状:生長点付近から葉に、褐色の斑点が生じる。トマトの場合写真17のように、第1段果房に着果、肥大が始まると一時的に発生が見られる。
対策:元肥にけい酸加里を施用すると軽減できる事がある。トマトの場合、通常、収量に影響がないので、病害の発生に注意すれば、問題はない。
写真:志和一也 2009年(写真1枚)

写真17 トマト_カリ欠乏

写真17 トマト_カリ欠乏

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