病害虫・生理障害ファイル 灰色かび病
灰色かび病Gray Mold
純粋に本病原菌のみに感染したぶどうは、「貴腐ワイン」の原料となります。
日本国内では湿度が高いため、その他の雑菌が混ざりやすく、原料を作るのが難しいとされています。
1 トマト
病原菌名:Botrytis cinerea
症状:
花弁から菌が侵入し、その後果実まで移行した。その他、生理障害などにより枯死した場所や花弁が葉面に落下した場合、発病することがある。
対策:
開花時ころの微生物農薬による予防散布が有効である。また、多湿条件で発病しやすいことから施設内の換気に努める。
その他特記事項:
生育が弱った細胞に菌が侵入し、感染する。
蜂による交配の場合尻部に、ホルモン剤処理による場合、へた付近に花弁が残る傾向がある。
2 ピーマン(ししとう他を含む)
病原菌名:Botrytis cinerea
症状:
花弁が残ったり、葉の上に落下した花弁から発病する場合が多い。
写真では、菌が見にくいが、灰色の菌が見える。
主にハウス栽培で発生しやすく、果実および茎葉を侵す。果実の発病は花弁から始まり、やがて、幼果に及び、暗褐色に変色してやや軟化し、早期に落果する。茎では収穫後の残存果梗が侵されて、その付着部から発病することが多い。葉、茎の病斑上には灰色のかびを密生する。
対策:
施設栽培では、換気を心掛け、ほ場の湿度を下げる。降雨前後の予防防除が効果的である。
ハウス内の湿度を高めないように、整枝、灌水や日中の換気に注意する。
その他特記事項:
写真1~2はパプリカである。
20℃程度の気温と多湿条件で発生しやすい。
3 きゅうり
病原菌名:Botrytis cinerea
症状:主に果実に発生する。花の咲き終わった部分から発病し、間もなく幼果を浸す。発病部にはかび(分生子)を密生する。羅病した幼果はのちに軟化腐敗する。葉では灰褐色の大型の円形病斑ができ、その中心部の褐色部分に灰色のかびを生じる。また、巻ひげにも、はじめ水浸状、のちに灰色粉状のかびを生じる病斑ができることがある。地面に接した葉や果実は発病しやすい。晩秋に気温が下がり、施設内が過湿になると果実に多発しやすくなる。
対策:
施設内の換気に努める。
発生前から発生初期の薬剤による防除を徹底する。
写真1、撮影者: 松澤 光弘
写真2、撮影者:上原智子
写真3、撮影者:上原智子
その他特記事項:写真1、葉面上に落ちた花弁から感染した。花弁には灰色のカビが生えていた。
4 ゆり
病原菌名:Botrytis cinerea Persoon:Fries
症状:
葉、蕾(つぼみ)に白~茶褐色の斑点を生じる。
対策:
「花ゆり」では、葉に病斑が付くと商品にならないので、降雨が続くような予報が出されたときは、事前に予防防除を行う。
その他特記事項:
本菌に対し好適条件にしても、葉の表面にかびは発生しない。
菌の発育適温は23℃。最低2℃。最高31℃。
伝染源:菌糸、分生胞子の形で被害組織中で越年し、伝染源となる。菌核はまれに形成され、土中でも越年する。
寄主:キュウリ、イチゴ、トマト、ナスなど多くの野菜、花き類、果樹類
5 カーネーション
病原菌名:Botrytis cinerea Persoon:Fries
症状:
花弁の外側から発病
対策:
薬剤防除
風通しを良くする
その他特記事項:
多発時期:開花期
伝染様式:空気伝染
発生部位:花弁、萼
発病適温:15~20℃
湿度条件:結露時間が長くなると多発
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